山歩きのウンチク辞典 その2 自然と人間との共生を説いた、自然保護の父・ジョン・ミューア

山歩きのウンチク辞典 その2

自然と人間との共生を説いた、自然保護の父、ジョン・ミューア

John Muir (1907)

アメリカのロングトレイル(長距離自然歩道)のひとつに、ジョン・ミューア・トレイル(John Muir Trail)という名前のついたトレイルがあります。ロングトレイルに関心のある方なら一度は聞いたことのある、もしくはすでに歩いたことのある方もいるかもしれません。カリフォルニア州内、ヨセミテ峡谷(ヨセミテ国立公園)からマウント・ホイットニー(標高4,418mでアメリカ合衆国本土で最も高い山)まで、340キロにわたって縦走するこのJMTは、アメリカで「自然保護の父」と呼ばれるナチュラリスト、ジョン・ミューアにちなんで付けられました。

ミューアは1838年にスコットランドで生まれにその後、アメリカに移住し、大学で地質学や植物学を学びます。20代後半から30代にかけては1日に数十キロも歩いて、5大湖周辺やカナダ、フロリダ、ヨセミテを放浪。その後、製鉄所で働きながらシエラネバダ山脈のヨセミテ渓谷の地質を調査し。シエラネバダ山脈の地形が氷河作用に深く関わっている事を発見し、地質学に大きく貢献しました。

ヨセミテ渓谷

またミューアは19世紀末から、ゴールドラッシュの影響を受け草地への過度の放牧や、ジャイアントセコイアの伐採が多く見られていたヨセミテの貴重な自然を守る論文を書き、保護活動を行いました。そして彼の論文に感銘を受けたセオドア・ルーズベルト大統領と一緒に3日間にもわたりヨセミテ公園でキャンプを行ってその必要性を説き、州の管理下だったヨセミテは国の管理下になったそうです。

JMT上にあるミューアHUTより撮影/斉藤正史

「自然の保護は、自然を知るところから始まる」という思いから、多くの人を森に誘い出し、自然教室を開くなど、その素晴らしさを体験させ「自然と人間との共生」を説いたというミューア。彼の死後(1915年)、JMTはカリフォルニア州議会の承認を得て、1万ドルの予算で整備がはじめられ1938年に完結しました。自然を保護するため、歩くためには許可証が必要で一日に10人しか発行されませんが、ミューアが愛した美しく雄大な自然を体験するために今も世界中から多くのハイカーが訪れます。

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