【オーストラリア・タスマニア】世界のハイカーが憧れる道 大自然や人との交流を楽しんだ濃密な7日間

日本で登山ガイドをしている松岡です。遅い夏休みということで、2017年11月10日から16日までの7日間、以前から憧れていたタスマニア島にあるオーバーランドトラックを歩いてきました。

オーバーランドトラックの情報は、インターネットで検索するとしっかり出てくるので、事前予約の申請等は問題無くできると思います。最期に実際に歩いてみた感想、反省点を書いておくので、良ければ参考にしてください。疑問、質問あればどうぞご連絡下さい。

オーバーランドトラック

クレイドル・マウンテン(Cradle Mountain)からセント・クレア湖(Lake St Clair)まで世界自然遺産に指定されているタスマニア原生地の最深部を歩く65kmのトレッキングルート。コースのベストシーズンは11月から翌4月まで(この時期は気候が穏和で、夏時間のため1日が他の時期より長い)で、4月には落葉性のブナが次々と紅葉していく様子を楽しむことができる。たくさんの湖や森、渓谷、山、荒野、迫力のある滝、険しく岩だらけの山頂など大自然との交流を楽しむことが出来る、世界のハイカーが憧れる道。(参考:オーストラリア観光局)

DAY1

スタート地点

オーストラリア連邦タスマニア州北部の都市ローンセストンからの送迎バスに乗り、11時頃にクレイドルマウンテンビジターセンターに到着。日本から持ってきた書類を提出し、受付を済ませます。

ビジターセンターからトラックの出発点となるロニークリークへシャトルバスで移動です。本当は前泊で早朝スタートしたかったのですが、スケジュールの都合で断念。

世界遺産に登録されているクレイドルマウンテンを登ることは時間的に厳しかったので、諦めました。バスを降りると、写真でしか見たことのない不思議な草原が広がっていました。

DAY1 パンダ二の草原

可能な限りピークを踏もうと計画していましたが、気持ちの良い気候の中、タスマニアの大自然を歩いていると、ピークハントなんかどうでも良くなってきて、一週間のんびり歩こうと思い直しました。

DAY1 左に見えるのがクレイドルマウンテン

10km強のトラックを歩き終え、16時頃に宿泊予定のウォーターフォールバレーハットに到着。板張りのベッドと机があるだけの簡素な小屋で、電気も寝具もありません。外に雨水を貯めたタンクとトイレがあります。

テント場もありますが、初日で疲れていたこと、昼間にcurrawongという鳥におやつのティムタムを奪われかけ、ちょっと怖かったこともあり、小屋に泊まることにしました。テントでも小屋でも料金はかかりません。募金箱を除き、トラック上にお金を使える場所はありません

ハットの利用者は全員オーストラリア人で、夫婦、友人、親子の二人組ばかりで、ソロは私だけ。英語の訛りが強く、なかなか上手くコミュニケーションが取れなかったですが、皆さん気さくでいい人でした。ほとんどの人が5泊6日の行程で、宿泊地が同じなので毎日顔を合わせることになります。

DAY1 夕暮れ

日が落ちてくると動物たちが活発になり、ウォンバットワラビーがあちこちで草を食べています。そして真っ暗になると、空は星で覆い尽くされます。地平線まで星空が続き、南十字星もはっきりとわかりました。自分の安いコンデジでは撮影できなかったのが残念。

DAY2

空が明るくなり始めたAM06:00起床。周りの人はぐっすり寝ていたので、30分ほど寝袋から出ずにボーっとしていました。日本の山小屋だと明け方にザックをゴソゴソ、ビニール袋をガサガサする音で目覚めることも多いですが、オーストラリア人はよく眠る人が多かったです。

DAY2 ウィル湖とBarnBluff

二日目はウィル湖に寄り道してもウィンダミアハットまで10km強、正午近くから歩き始め、アップダウンも多かった昨日と比べるとかなり楽な行程のハズでしたが、強烈な日差し、長期縦走から遠ざかっていたこと、旅の疲れが出たのか、足取りは重かったです。

DAY2 ウォンバット

DAY2 パディメロン

夜は小屋でレンジャーの方に植生の解説をしていただきました。もう少し英語の勉強をしなきゃと痛感しました。

DAY3

DAY3 夜明け

この日はペリオンハットまでの16.8kmの強行軍です。ユーカリの疎林やパンダニ等の見慣れない植物が飽きさせません。

DAY3

この日、初めてお腹のポケットに赤ちゃんがいるワラビーを見ました。

DAY3 コケ①

DAY3 コケ②

DAY3 コケ③

DAY3 ワラビーの親子

DAY4

DAY4 Mt.OSSA-1

山ヤなんだから一度はピーク踏みたいよね。って気分だったので、タスマニア最高峰MtOSSAに登ることに。前日にレンジャーの方に「雪は少ないから、アイゼンもピッケルも要らない」と言われるも、雪が緩む前に早めに行こうと少し早起きで出発。

DAY4 Mt.OSSA-2

登山道はトラックと同様、非常に整備されており、歩きやすくて余裕だったのも束の間、急に岩だらけでルートファインディングも難しくなりました。そして雪も次第に増し、アイゼン、ピッケルが無いと不安なコンディションに。

DAY4 Mt.OSSA-3

仕事だったらヘルメットもハーネスもつけてもらわないとなぁ...と思っていると、山頂にたどり着きました。着いてから、引き返す勇気も必要だったと反省。

DAY4 Mt.OSSA-4

DAY4 Mt.OSSA-5

風も強く、写真を数枚撮って早々に下山です。反省しながら慎重に下山していると、短パン、ランニングシューズで冷たいと騒ぎながら登る若者や尻セードで滑る小学生に出会いました。
もちろん誰も雪山装備は持っていません。恐るべしオージー笑

DAY4 Mt.OSSA-6

今日の宿泊地、キアオラハットまで、あと1時間ほどのところで大事件が起きました。人が倒れているのです。ガイドツアーのお客さんが熱中症で倒れたそうです。我々と違い、ツアーは専用の小屋に泊まり、料理も提供され、ワインも飲めるそうです。日差しを避けるためでしょうか、全身をゴアテックスの雨具を掛けられたまま放置されています。このままだとヤバそうなので、ツェルトでタープを設営、マットに寝かせ、川でタオルを濡らし首筋や、脇、足首に当てます。塩飴や楽しみにとっておいた粉末タイプのスポーツドリンクも差し上げました。

応急処置をしてヘリを待つ

無線でヘリを呼んでもらい、ヘリが到着するまで地図であおいで体を冷やし、搬送を手伝い、小屋に向かいました。

ヘリが到着

搬送の様子

連日の疲れ、強烈な日差し、慣れない環境で寝れない、お酒も飲み放題。倒れる要因はたくさんあったと思います。そういった兆候を読み取り、事前に対策を取るのがガイドの務めですが、自分のお客様が倒れたときのことを考えるとゾッとしました。帰国したらファーストエイドの講習会を受け直そうと決意。

小屋では先に着いていた人たちから拍手で出迎えられました。質問攻めで、みんなが僕のテーブルに座り、照れくさかったです。そしてツアー会社のガイドがお礼にワインを差し入れてくれました。1人では飲みきれないので、みんなで分け合いました。

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