総延長4500km アメリカ三大トレイルCDTのギアリストを公開! ~ 河西 祐史のギアレビュー ~

「パシフィック・クレスト・トレイル」(PCT)と並び、アメリカ3大ロングトレイルのひとつとされる「コンチネンタル・ディバイド・トレイル」(略称CDT)。

大陸中央部のロッキー山脈沿いを通過するこのトレイルは、未だ整備されていない部分も多く非常に不明瞭なトレイルだ。今回紹介するのは、そんな約4500キロものCDTのスルーハイクで使用したギアリスト(2015年)だ。

■ベースウェイト :

約9kg(夏) , 約11.5kg(春・秋)。ベースウェイトと言っても水ボトルなどは含んでいないため、実際にはもう少し重くなる。歩いている間に身につけている服は別にして、ここではほぼ常時バックパックの中にあるもの(+トレッキングポールと靴)を記述。

寒いときの装備。ダブルウォールのテント、キャンプ用の嵩があるダウンジャケット、厚手のレインジャケット。

○バックパック : Deuter ACT Lite 50+10

○バックパック用レインカバー :MEC Pack Raincover 60-80L

 カナダから入国したので、出発前にMEC(Mountain Equipment Co-op)に寄って購入。MECのカバーはシルナイロンの軽いタイプと、ウレタンコートされた分厚いナイロンの2タイプあるが、バックパックをタフに使いたかったので分厚いほうを選択。コレだけで200g近くあったと思うが役に立った。帰りの飛行機でバックパックにかぶせて預けたら、カバーだけ紛失されたのが残念。

○食料袋 : Outdoor Reserch Ultralight Dry Sack 35L

CDTの北端あたりは指定キャンプ場(要予約)に泊まらねばならず、食料はやはり指定の場所で吊るさなければならない。そして短めのルート選択で180マイルほどのロングストレッチがある(南下すると初日の夜にレストランつきの宿に寄れるが売店はない)ので、自分は9日分の食料を運んだ。35Lでちょうどいいくらいだったが、他のハイカーはもっと小さいスタッフサックを、必要な時だけ2袋運んでいることが多かった。

○テント/タープ : Big Agnes Slater UL 1+(春・秋)    ZPacks キューベンタープ約335cm × 260cm(夏)

 Slaterは完全ダブルウォールで、テントのスタイルとしては実は個人的に不満があるものの、寒さにはいい選択だったと思う。タープはZPacksにサイズ指定して作ってもらったかなり大きいもの。それでも嵐の時などは雨が振り込まないようにするのに苦労した。

○タイベックシート(1.2m×2.2mくらい、通期)、シート 1枚(夏)

 テントにはグラウンドシートをつけておいたが、それとは別にタイベックを1枚。夏のタープ使用時には、1ドルショップで大きな野外用テーブルクロス(BBQなどに使う薄いもの)を買ってグラウンドシートとした。

○寝袋 : MountainHardWear Fantasia 32℉(0℃) + 化繊毛布

 マウンテンハードウェアは撥水ダウンの軽量ダウンジャケットがハイカーに大人気だが、撥水ダウン寝袋はメンズモデル(Phantom)のレギュラーが内長198cmとかいう信じがたいサイズ展開で、意外とみんな持ってない。自分は身長175cmに女性モデル(Fantasia、内長178cm)がぴったりなので買ってみて、かなり気に入っている。快適温度0℃で、ほとんどのCDTハイカーはもっと低温対応の寝袋を持っていたけれど、自分は撥水とはいえ濡れることもあるだろうと思い、化繊の薄い毛布(安物)を追加で持っていた。

○マット : Thermarest Neo Air X-Lite(レギュラーサイズ)

 アメリカの長距離ハイカーに最も人気なのは、おそらくサーマレストのZ-Lite(ウレタンマット)。パンクの恐れがなく、蛇腹式だからちょっと休憩したい時にバラバラっと広げられる。自分も以前は使っていたが、現在は寝心地重視でエアマットにしている。厚さ6.3cmで、なんとか「横向き寝」も可能。それでいてウレタンマットより軽く、R値も高い。もう少し幅が広ければ、もうずっとコレでいいのだが。

○レインジャケット : Sherpa Adventure Gear Lithang Jacket/Mont-bell Storm Cruiser Jacket

○レインパンツ : Mont-bell Storm Cruiser

 標高が高かったりして寒いエリアだけ厚手のしっかりしたレインジャケットにした。重くなければ全区間でそうしたかった。

○インサレーションジャケット : Patagonia Nano-Puff

 濡れてもいいように化繊中綿ジャケット。夏はコレを「寝るとき用」とし、歩いている間は着ないようにした。

○キャンプ用保温ジャケット : Mont-bell Alpine Down Jacket(春・秋)

  寒い時期は化繊中綿ジャケットを「歩くとき用」にし、キャンプ時にはこちらを着ていた。軽量ダウンジャケットとしては重いほうの、嵩がしっかりあるもの。

○手袋 : フリースなどの安い手袋(紛失して買いなおしあり)+REI Packable Gauntlet Glove(アウターのみ)

 少し大きめでさっと脱げるアウター手袋に、適当なインナー。真夏はアウターのみ持ち歩いた。

○ゲイター : 無し

 レインパンツがあるのでゲイター無しにしてみたが、小石が靴に入るので晴れた日も欲しいと思ったことが何度もあった。

○保温用帽子 :フリースネックゲーター(100均)

主にキャンプ時、アタマにかぶって使用。歩いているときに顔を覆えるもの(バラクラバなど)に代えることを考えながら、ついに良いものが見つからず終わった。

○寝るとき用肌着 :  Icebraker Longsleeve(200) + REI Lightweight Botoms(Longjohn)

 汗をかいたり雨の中を歩いて服が濡れても快適に眠れるよう、肌着をパックして荷物に入れておいた。長距離ハイカーがよくやる手で、CDT上で8人くらいがキャンプしたとき、全員が長袖長タイツになったので「ザ・タイツってチーム作ろうぜ」と笑いあったことがあるくらい。アイスブレイカーのウール100%シャツは寝るとき用・歩くとき用どちらにも人気。REIの薄手タイツはポーラーテックで、長期使用と洗濯によく耐えてコスパが高い。

○寝るとき用靴下 : 100均のふわふわ靴下

 持つ持たないで意見が分かれる、寝るとき用靴下。自分も普段は履かない。寝袋が女性用で、つま先にちょっとダウン大目と謳っていることもあるからいらないのかもしれないが、寒い日、体が濡れてしまった日のキャンプは、乾いた靴下を持っていると本当に安心できる。

○歩くとき用靴下スペア : 5本指靴下2~3組 + Darn tough1組

 履いている分とは別に、荷物の中に夏なら2組、春秋は3組の5本指。マメ防止のため5本指中心にしたけれど、アメリカでは安いのが手に入らない。日本のホームセンターやスーパーで、安物だが化繊率高目のものを選んでたくさん持っていった。バックアップの荷物に入れて先の町に送っておき、2週間ごとに1組くらい捨ててどんどん入れ替えた。悪天候に備え、ウール100%のダーンタフも1組。たぶん、他のハイカーよりも1~2組余計に運んでいると思う。

○水フィルター : Sawyer Squeeze filter

 おそらく現在の長距離ハイカー1番人気、Sawyerのフィルター。ちなみにSawyer Miniは通水が遅すぎるなどの理由であまり人気がない。

○ストーブ : SOTO Windmaster

 悪天候でも使える、Sotoのウインドマスター。「CDTをキャニスターで通す」というのはガスの入手面から難しいとされてきたが、ちょうど2015年ごろから十分可能になった。沿線のどこでガスが買えるか、もうほとんど情報が共有されている。ちなみにアメリカでは、日本で言うホームセンターや大型スーパーのアウトドアコーナーで結構キャニスターガス(OD缶)が売っている。日本でメジャーなカセットガス用縦長ボンベはほぼ手に入らない。

○鍋 : EPI ATS cooker Thitanium(900ml)

 ラーメン2袋をストレスなく一度に作れる900mlサイズのチタン鍋。フタは少し深さがあり、ほぼ湯沸し専用に使った。

○コーヒーカップ&フィルター : MSR Titan Cup + Mont-bell O.D.コンパクトドリッパー2

 豆を挽いた粉を持ち、鍋のフタ(フライパン)で湯を沸かし、小さいチタンのカップを受けにしてドリップ。トレイルでは鍋をほぼ洗わないので、コーヒーをドリップしようとするとこうなる。実際には紙フィルターも現地で買い、ドリッパーに仕込んで豆の回収を簡単にしていた。

○カトラリー : 100均箸&スプーン、ポケットナイフ(刃だけ)

 100均の竹箸と木のスプーン。箸は滑り止めの刻み目が先端近くについた少し長いもの(短い菜箸?)。自分は焚き火に鍋をかけたりもするので、短い箸は使わないようにしている。木のスプーンはカレーを食べるくらいのサイズ。900mlの鍋でもストレスなく使えるサイズで、街でアイスクリームを全力食いしても平気なタフさを考えるとチタンのスプーンは苦しい。ナイフはマルチツールタイプを持ち歩いているが、時々なくしてしまって食事に困るので、安物の折り畳みナイフを壊して刃だけ鍋の中に入れ持ち歩いている。

○ハンドサニタイザー : No→Yes

 途中から、手を消毒するジェルを旅行用の小さなボトルで持つようにした。最近、高山でもGiardiaが出るっておかしいだろ、我々ハイカーは水からではなく自分の便から大腸菌を拾っているのではないか?という意見が広まってきていて、仲良くなったハイカーと大きいボトルで買って中身をシェア。自分は水はいつもフィルターしていて、Giardiaにかかったことはないが一応。

○靴 : Keen Marshal Mid WP→Altra LonePeak→Salomon X-Ultra Mid GTX

 いろいろ試したが、自分は元々ブーツ好き。でもCDTではグレートベイスン周辺で、ロードウォークが多く暑いから、ランニングシューズにして良かったと思う。またキーンやサロモンは、日本人的な足型を持つ自分には幅が狭く甲が低すぎるモデルが多い(合うのがあってもアメリカでは入手難)が、天然皮革を使った硬いブーツを避けてソフトなものを選んでみたところどっちもフィットして快適だった。

○サンダル :クロックス

 やはり持つ持たないの意見が分かれるサンダル。キャンプ時に便利なほか、CDTは渡渉も多く、靴を濡らしたくない時に使えるメリットがあるので個人的には絶対持ちたいところ。カカトのループがあるサンダルは歩くときに安定するのと、バックパックの外にぶら下げるのに便利。

○トレッキングポール :  Black Diamond Trail(ペア)

 長旅だと、曲がる・折れるというトラブルが怖いので自分は金属ポール派。ポールのトップを手のひらで下に押すようにして使うことができるタイプが好み。

○カメラ : Sony Nex-6 +Sony HX60V、ミニ三脚

高望遠かつメインにも十分使える画質のコンデジ、HX60V。さっと出して撮るのは全てコンデジにして、腰をすえて撮影できるときだけミラーレスのNexを出した。ちょっと重すぎたがどちらもmicroUSBで本体充電可能なので充電器分の重さは助かっている。どっちもこのハイク中に壊れた。Nexはレンズのみが壊れて本体は無事だったので、ネットで換えのレンズを購入して使い続けた。ミニ三脚は100均。

○腕時計 : Casio PRO Trek PRW-1500GBJ-1 JR

コンパス、温度計と気圧計、気圧から算出する高度計つき。ソーラー駆動で電池切れの心配なし。

○傘 : 無し

グレートベイスンの日照対策と、ちょっと雨が降ったとき用に運んでいるハイカーも多かった。自分は他にいろいろあって重いので持たず。

○地図 : Guthook App + Ley Map

 CDT全域をカバーする地図は、3種類が主にスルーハイカーたちに使われてきた。 このうちWolf’s Guide(ガイドブック)の地図は近年あまり使われなくなってきている。残り2つのうち、Bear Creek Mapと呼ばれる地図のルートを、有料スマホアプリのGuthookCDTがほぼ踏襲している。このアプリを使いながら、紙のLey Mapも持つようにした。Ley Mapはおすすめルートやエスケープルートが多く記載され、Bear Creekと違うルートがあるので、悪天候時などを考えて片方だけに依存しないよう心がけた。
Ley Mapはデータの入ったCDが売られてきたが、2016年にダウンロード用PDF版がアップされた。作成者のJonathan Leyにメールすると、サーバーのアドレスを教えてくれるそう。

○ガイドブック : Yogi’s Continental Divide Trail Handbook

 タウンガイドを中心としたYogiのガイドは、トレイルの広域概略図を使ったルート選択のガイドとしても役に立ち、スルーハイカーの標準装備になりつつある。だいたい州ごとに4区間くらいに分けて、不要な区間の分はバックアップの箱へ。

○携帯電話 : iPhone 5s(Verizon)

カバーするエリアの広さでVerizon一択。どういうわけか、日本人のハイカーで自分以外にVerizon契約はほとんどいない。

○予備バッテリー : Anker 10,000mAh

  自分はiPhoneを事実上のGPSナビとして使っていたが、普段は機内モードにしておいて1~2時間に1回オンという使い方にして、この予備バッテリーで4日は楽に持たせられた。

○ヘッドランプ : Gentos GTR931H

2013年くらいまで、アメリカのアウトドアショップでは防水ヘッドランプをほとんど見なかった(ペンタイプならあった)。充電式ランプの普及とともに防水のチョイスも増えたが、単3一本でも明るく、防水でニッケル水素(1.5vではなく1.2v)対応なんてのはまずない。日本から持っていくのが得策。

○タオル : 高吸水手ぬぐい

100均の高吸水手ぬぐいを1本。タオルが無い宿に泊まるときと、テントや寝袋を拭くときどちらにも使う。ほかのハイカーはシャムワオ(通販番組で有名な高吸水タオル)を小さく切って持っていることが多かった。

○アカスリ

100均のアカスリ、かため。アメリカの「体を洗うためのもの」は、どんな形にしろふわふわして力が逃げてしまうものばかりで、数日ぶりのシャワーには物足りなすぎると思う。普段はやわらか目を使う自分でも、ハイクにはかためを持っていった。

○その他

  ・タブレット : ASUS 8インチ。途中からどんどん不安定になり後半はほぼ使わず。
 ・エネループ充電器KBC-E1AS + 東芝Impulse2,400mAh × 4本
ヘッドランプの電源兼もしもの電力不足用。ここまで持つハイカーはほとんどいない。充電器は単3二本だけを充電でき、また予備バッテリーとしても使える便利なものだが、充電ジャックがminiUSBでケーブルを他の機器と共有できないのが残念。
・充電タップ、充電ケーブル各種
田舎だとUSBケーブルが思うように手に入らないので、日本から100均などで揃えていった。
・延べ竿 約4m + 釣り糸、毛鉤
最近アメリカのハイカーたちがテンカラに注目しているので、あやかって安物の延べ竿を持っていった。コロラドでのみ使用し、他の州ではバックアップの箱の中へ。糸や毛鉤は現地で購入。結構楽しめた。
・Smartwaterのボトル その区間で必要な本数
Sawyerのフィルターにフィットする、縦長のミネラルウォーターボトル。Sawerはもともと一般的なペットボトルの口に合うように作られたが、現在はペットボトルのほうが多様化してしまいピッタリのものが少なくなってしまった。 また、ソフトな水バッグよりもハードボトルをフィルターにつけることを好むハイカーが多い。野外でいくらでも汲めるのに街で水を買うのは馬鹿馬鹿しいが、確実にフィルターに付けられる上に細身なのでサイドポケットに2本入るというメリットから、ハイクの定番になっている。
・100均の水ソフトバッグ
必要になるのは乾燥地帯などだけなので、これも日本で買ってバックアップの箱に入れておいた。
・コンパス Bruntonのコンパスを持っていたが、腕時計にもスマホにもコンパスが付いているのでもうほとんどお守り。
・ファーストエイドキット、裁縫セット、エアマットリペアキット
絆創膏、テープ、スキンクリーム、アンチバイオティックジェルの小袋など。
https://togetter.com/li/545638
裁縫セットは縫い針にポリエステルの糸、糸通し、はさみ。

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