ドイターACTライトとオスプレー・タロンを使ってみて

ここ数年、バックパックはドイターのACTライトを使ってきた。
今年、初めてオスプレーのタロンをそこそこの日数(ハイクは連続12日間)使ってみたので使用感など。

自分はドイターのACTライトを愛用している。分かりやすい利点としては、それほど重くないわりに丈夫でタフに使えること。長旅では重要なポイントになる。また、細身なので腕の振りを妨げない。これは、自分はトレッキングポールを使って体を押し上げたりするので、ヒジを大きく後ろに出すことがあって、その邪魔にならないということ。他には背中が蒸れない(エアコンタクトシステム)し、背面長がかなり自由に調節できる(バリクイックシステム)などが挙げられる。
2012年まではACTライト65+10を使っていた。ATやPCTでは、長めの時で「次の街まで5泊ぐらい」の区間がある。自分はスナックも含めて食料を多めに運ぶし、水場が少ない区間ではサイドポケットだけでなくバックパック内にも水を入れる。容量が多いに越したことはない。たまにだけれど水と食料だけで10kgを超えることもあるので、必然的にバックパックはフレーム入りを選ぶようになる。2000gを切るパックを、という選択だった。

しかし、ギアの小型軽量化を少しずつ進めたり、アメリカの食料事情に詳しくなってコンパクトなモノを選べるようになったりした結果、ワンサイズ小さなACTライト50+10に乗り換えた。だいたい60L(リットル)、というのはアメリカのロングディスタンスハイカーにとって最もポピュラーなサイズだと思う。

Deuter ACT Lite 50+10
重量 : 1730g
サイズ : 75cm(高さ)×32cm(幅)×26cm(奥行き)

Deuter is one of the leading backpack brands worldwide. Founded in 1898 it has been pioneering premium outdoor equipment for over 115 years. The German b...
上下の気室を分ける隔壁も開くことができる

上下の気室を分ける隔壁も開くことができる

2015年CDTで、9日分の食料を詰めたところ。ほぼ限界(笑)

2015年CDTで、9日分の食料を詰めたところ。ほぼ限界(笑)

分かりにくい利点、というか好みの問題であるポイントもあって、自分は「荷物の重心を高く」という教えの信奉者である。ACTライトは二気室で、下側から上の気室にもアクセスできる。出し入れに便利であるほか、自分は荷物が少なくなると上の気室だけに荷物を集め、重心を高くするようにしている。さらに脇のストラップで気室の厚みを調節できるので、より背中近くに重心を持ってくることができる。

重心を高く、肩の後ろになるべく重さをというのはパッキングの基本だが、「重心が高いと、体が荷物に振り回されてしまう」というハイカーは結構多い。このタイプは1気室のバックパックを好み、意図的に腰近くで重さを感じるようにするらしい。

一方のタロン。「アメリカのロングトレイルでは、どんなバックパックが人気なの?」と聞かれたら、自分は迷わずオスプレーのエクソスだと答える。日本には「アメリカではみんなウルトラライト」という勘違いもあるようだけれど、超軽量派はマイノリティだ。山に入ればグレゴリー、ケルティ、そしてドイターやオスプレーのがっちりしたタイプのバックパックだらけで、合わせればゴッサマーギアやらハイパーライトマウンテンギアの数を足したより絶対多い。
しかし、数ヵ月もかかるようなロングディスタンスのハイクをしていると、バックパックを買い変える奴が出てくる。そこで「重いタイプから少し軽いタイプへ」乗り換えるハイカーが新しく選ぶのが、見ているとほぼオスプレーのエクソスだ。暑さが嫌われるアメリカのハイク界で現在バカ受けの、背中側にメッシュパートを設けて通気を確保する構造。一気室でトップリッドは取り外し可能、アルミフレームがついて重量が1.1kgほど(サイズにより違う)だが推奨パッキングウェイトは18kgまでとかなり大きい
。REI(アメリカ最大級のアウトドアチェーン)が独自ブランドで出しているフラッシュというバックパックが「エクソスにそっくりだ」といって選ばれることもある。ある程度の軽さと、長期間使用に耐える丈夫さのバランスを考えるとこうなるのだろう。

ただ、自分は上からしか内部にアクセスできない構造に不満があった。そこへPCTで出会った「コイツは凄ぇな」と思ったハイカー2人が、会ったのは別々だけれど、共にタロン44を使っていたので試してみた。一気室だがボトムもガバっと開くことができ、他はまあまあエクソスに似ている。
タロンは小さい(44Lが最大のモデル)から大型バックパックと違って、背面長自体があまり長く取れないが、調節はできるようになっている。ショルダーハーネスの上端が縫い付けられている板状のパートが、本体とベルクロ(マジックテープ)で止められている構造で、ずらせば無段階の調節が可能だ。

Osprey Talon 44
重量 : M/L=1090g(S/Mは1050g)
サイズ : 71cm(高さ)×30(幅)×28cm(奥行き)(M/Lサイズ)

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ボトムストラップにテントを着けてみた。その分、内部は広く使える。

ボトムストラップにテントを着けてみた。その分、内部は広く使える。

オスプレーのバックパックは大体、ボトムにマット用のストラップがある。最初食料が多かったのでテント(1.2kg)をボトムに着けて歩いてみたが、やはり重心が体から遠く、低くなって自分の好みじゃない。そこで幕体とポールを分け、ポールは水のボトルと一緒にサイドポケットに入れ、幕体は本体最下部に収めて下から出し入れするようにした。「凄ぇ」2人も実はテントをそうしていて、彼らはこのストラップにウレタンマットを着けていた。 ちなみにエクソスのストラップは着脱できる細くて華奢なもので、それに比べるとタロンのストラップは幅広でしっかりしているが、それでもあまり重いものを着けないほうがよさそうだ。こういうボトムストラップはドイターでも複数モデルにあり、最近ACTライト65+10にも採用された(自分が使っていた時はなかった)。今後、55以下でも採用されるのだろうか。

アメリカには時々ある縦長のボトル(約1Lでも500mlのボトルと同径)と、テントのポールを一緒にサイドへ。 今回はエアマットを使用したのでマットは本体内とし、ボトムストラップは使わなくなった。

アメリカには時々ある縦長のボトル(約1Lでも500mlのボトルと同径)と、テントのポールを一緒にサイドへ。 今回はエアマットを使用したのでマットは本体内とし、ボトムストラップは使わなくなった。

さて、これまでしっかり目のバックパックを使っていたハイカーが「軽そう」なのを選ぶとき、不安になるポイントの一つがヒップベルトである。タロンのヒップベルトは肉抜きされているのが丸見えの構造で大丈夫かと思ったが、瞬間的に総重量が20kg近くなった(水を6L持った)時も問題なく快適に歩けた。

ヒップベルトは体側がメッシュ。外側のポケットもメッシュでできていて、中のパッドの隙間から透かして見える。

ヒップベルトは体側がメッシュ。外側のポケットもメッシュでできていて、中のパッドの隙間から透かして見える。

背中に当たるパートには、エクソスと違って波型のマットが入っている。エクソスは金属製のアーチにメッシュを張り、背中に荷物が当たらない構造になっているが、20kg越えを時に背負う身としては、マットのほうが安心感がある。ACTライトよりは少し背中が温かいか。
オスプレーでは最近、Voltというモデル(60Lと75Lがある)にこの波型マット+メッシュを採用した。ヒップベルトはもっとしっかりした形状だが、全体的にタロンと同じような見た目である。半年間のハイクなら、容量も考えてVoltのほうがいいかもしれない。ただしVolt60は1780gあるから、ACTライトより軽いというメリットはなくなる。

細かい話としては、自分はバックパックの前面にカメラケースやらボトルホルダーをくくりつけているので、タロンやエクソスではそれが難しいという点を挙げたい。ショルダーハーネスが細身な上、なんというか構造がシンプルじゃないのだ。

左のタロンにはポケットやポールホルダーがあり、アレンジは難しい。 ちなみにポケットにスマホはまず入らない。

左のタロンにはポケットやポールホルダーがあり、アレンジは難しい。 ちなみにポケットにスマホはまず入らない。

総論として、タロンは見かけは華奢だが、充分にロングトレイルの長期使用に耐えるバックパックだと思う。しかも軽い。ストラップなどの使い心地に不満、または単に自分が不慣れな部分があるが、3泊までの区間が続くなら選択肢のトップに来そうだ。もう少しタロンの容量が大きければ、軽さに重きを置いて(笑)ACTライトから乗り換えてしまうかもしれない。

トップリッドが取り外し式なので、トップに荷物をくくりつけるとこうなる。

トップリッドが取り外し式なので、トップに荷物をくくりつけるとこうなる。

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